見積チェックの清光です。
引越の営業を10年、見積は1万5000件以上つくってきました。
このサイトでは、お手元の見積書をどう読むかをお伝えしています。
お手元の見積書の上のほうにある「基本運賃」、これが何の代金なのか分からないまま眺めていませんか。
総額の大半をこの一行が占めているのに、何で決まった金額なのかは、どこにも書かれていません。
この記事では、引越しの基本運賃とは何で決まっているのかと、その金額をどう読めばいいのかをお伝えします。

引越しの基本運賃とは、約款上は「運ぶことの代金」
標準引越運送約款では、引越料金は運賃・実費・附帯サービス料の3つに分かれることになっています。
このうち運賃が、荷物を運ぶことそのものの代金にあたります。
実費は高速代や資材費など、附帯サービス料は梱包や電気工事など、運ぶこと以外にかかる代金という建前です。
ただ、これはあくまで建前の話です。
実務では、この3つがきれいに割れているわけではありません。
実費を個別に積算した見積書は、私の見てきた範囲ではほとんどありませんでした。
つまり見積書の基本運賃は、約款が言う「運ぶことの代金」より広い中身を抱えている、と思って読むほうが実態に近いです。
実務で基本運賃を決めている5つの要素
では、その金額は何で決まっているのか。距離と荷物の量だけではありません。
- 物量:荷物の量。トラックの大きさと作業員の人数がここで決まります
- 付帯サービス:梱包、エアコンなどの電気工事、クレーン作業
- 開始時間の枠:午前を指定するのか、午後か、時間を会社に預けるのか
- 日程:その日の混み具合、繁忙期かどうか、土日祝かどうか
- 距離:旧居から新居までの移動
この5つのうち、お客様が見落としやすいのは3つめの開始時間の枠と、4つめの日程です。
同じ荷物・同じ距離でも、開始時間の枠と日程の混み具合で金額は動きます。
他社より高い見積書が出てきたとき、その差が荷物の見立ての違いではなく、この2つから出ていることは珍しくありません。
「安くしたい」と言われたときに、営業がまず探すのもここです。

だから基本運賃は、金額ではなく条件で読む
基本運賃をさらに割って、車両費や作業員費が妥当かどうかを確かめようとする方がいます。
ですが、これはうまくいきません。
車両費や作業員費は、お客様の側に妥当性を判定する材料が無い項目だからです。
外から相場が見えないので、その金額の高い安いを内訳の細目から言い当てることはできません。
判断できるのは、条件をそろえた税込の総額と、同じ条件で出した他社の金額との比較だけです。
そのうえで、金額欄より先に見ていただきたいのが、見積書の条件欄です。
基本運賃は、この条件欄の内容から組み上がっているからです。
| 条件欄で見るところ | 金額への効き方 |
|---|---|
| 引越日(土日祝か平日か) | 動かせる。平日に振れるなら、ほぼ確実に下がります |
| 開始時間の枠 | 動かせる。時間を会社側に預けるほど下がりやすい |
| 荷物の量 | 動かせるが、当日までに実際に減らす必要があります |
| 階数・エレベーターの有無 | 動かせない。ただし伝わっていないと当日に揉めます |
| 距離 | 動かせない |
基本運賃が高いと感じたら、金額を下げてくださいと頼む前に、この表の上ふたつが動かせないかを考えてみてください。
値引きの交渉より、条件を動かすほうが金額はよく動きます。
よくある質問
Q. 基本運賃しか書かれていません。内訳が無いのはおかしいですか?
おかしくはありません。内訳は聞かれればすぐ答えられるものなので、まず聞いてみてください。
問題は内訳が無いことではなく、聞いても出てこないことのほうです。
Q. 基本運賃に、梱包の作業やエアコンの工事は含まれていますか?
会社によって扱いが違うので、金額欄からは判断できません。
何がいくつ付くのかを品目で確認してください。附帯サービス料に何が入るかも見ておくと、二重に数えずに済みます。
Q. 訪問見積もりにすると、基本運賃は高くなりますか?
出てくる金額の傾向に、訪問と電話とで差はありません。
変わるのは当日に荷物が増えていたときの責任の所在で、訪問見積であれば会社側が引き受けます。
まとめ
- 約款上の運賃は「運ぶことの代金」だが、実務の基本運賃はそれより広い中身を抱えている
- 金額を決めているのは、物量・付帯サービス・開始時間の枠・日程・距離の複合
- 見落とされるのは開始時間の枠と日程。他社との差はここから出ていることが多い
- 車両費や作業員費の妥当性は外から測れない。比べるのは条件をそろえた税込総額だけ
- 基本運賃を動かしたいなら、金額ではなく条件欄を動かす
ここまで押さえられれば、手元の見積書の基本運賃が高いのか、条件のほうが高いだけなのかを切り分けて判断できます。
お手元の見積書について、判断に迷うところがあればご相談ください。
実際の見積書を拝見して、内訳の読み方をお伝えしています。
今後とも宜しくお願い致します。

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